ほうれん草や小松菜、菜の花など緑色の野菜は茹でた後、水に取る(入れる)ほうがいいと言われています。なぜわざわざ茹でた後に水に取るのでしょうか?
美しさを保つため
その理由は色が悪くなるから。緑色の野菜はそのままにしておくと、色が茶色くなります。緑色の色素はクロロフィル。クロロフィル加熱しすぎると、分粗構造が変化して茶色くなります。茹でたままにしておくと、加熱し続けていると同じ現象です。だからすぐに冷水に取ることで温度を下げ、変色を防ぎます。
またほうれん草は水に取ることでアクが抜けて食べやすくなります。ほうれん草を蒸し煮してごま和えを作ったことがあります。が、どうもエグ味が取れません。やはり、ほうれん草は水に取ったほうがいいのだな、実感しました。
また、これはブロッコリーや菜の花、アスパラガスも同じです。ただ、これらの野菜は水に取ると水っぽくなり味が落ちます。それにアクも強くない野菜です。
ではどうするか?
水に取らずに広げて冷ます
生上げという方法を使います。
これは茹でた野菜をザルに広げてうちわであおぎ、温度を下げるやり方。和食で使われる方法です。
こうすると色を保てるだけでなく、水分が飛ぶので調味料との絡まりもよくなります。
注意点は、湯で時間を少し短くすること。余熱で火が入りますので、ちょっと短めに引き上げるといいですね。
煮物の作り方で、単に煮るのではなく、炒めてから煮る方法があります。なぜ炒めて煮るのか?を見ていきましょう。
炒めてから煮るの効果は?
「炒めてから煮る」とは、まず油で素材を炒めてから、調味料を加えてにていく方法です。料理としては、筑前煮、きんぴらごぼうなどがあります。
これらの特徴は、こってりした味わい。淡白な野菜を油で炒めることで、油の風味でコクが備わります。
また油で表面をコーティングすることにより、野菜の成分が外に溶け出しにくくなりますし、逆に煮汁が野菜の中に浸透しにくいので、野菜のもつ特徴的な香りや味が全面に押し出されます。
きんぴらごぼうや筑前煮は、野菜のもつ食感を味わう料理でもあります。煮汁を浸透させるというよりも、野菜をしっかりと油で炒め表面に煮汁を絡ませるイメージで煮ると上手に仕上がります。大根のおでんのように中までじんわりと味を含ませる料理とは、ちょっとしがった煮物です。
これからは根野菜が美味しくなる季節です。油で炒めて歯ざわりのよい煮物に仕上げたいものです。